Share

6 大きな公園で

Penulis: あさじなぎ
last update Tanggal publikasi: 2026-08-04 19:56:34

 その週末、土曜日。

 郁人は仕事でいないから、私は息子の俊太をつれて少し離れた公園に出かける。

 まだちょっと暑いけれど、風が吹くと涼しくて心地いい。

 自転車のチャイルドシートに俊太を座らせて、公園に向かう。

「おっきい公園?」

 俊太に言われて、私は頷いて言った。

「うん。東雲さんに教えてもらった公園に行ってみよう、って思って」

「そうなんだ」

 私は知らなかったけど、普段私が行かない方に大きな公園があって、アスレチックとか、ドーム型の飛び跳ねる遊具が充実しているらしい。

 普段は近所の公園しか行かないから知らなかった。

 特に仲がいいママ友もいないし。

 公園に向かいながら私はずっと、郁人の事を考えていた。

 家では全然会話、しないのよね。

「話しなくなってどれくらい経つだろう」

 呟いて考えてみるけれど、もう一年以上、まともに会話、していないかも。

 保育園の行事はスマホで伝えているし。

 郁人は俊太の相手はする。

 お風呂にも入れてくれるし、遊んでもくれる。当たり前のことだけど、なんだかモヤモヤするんだ。

 それも全部、あの、女性と一緒に歩いているのを見てしまったせいだろう、と思う。

 休みの日に女性と楽しそうに歩いて、あれ絶対に何かある。

 そう思って家にいる間の様子を観察してるけど、でもすぐに自分の部屋に引きこもっちゃうし、何も掴めない。

 探偵に依頼するのはちょっとな、と思って躊躇する。

 そんなことを考えている間に、公園に着いた。

 東雲さんが言うように、大きな公園でしかも遊具が綺麗だ。

 自転車を降りるなり、俊太は、

「すっげー!」

 と、声を上げて走り出す。

 私はそれを慌てて追いかけていく。

「ちょっと、俊太!」

 俊太はまっさきに、子供たちが飛び跳ねて遊んでいる白いドームへと近づいていく。

 また別の場所では水遊びができる噴水があるみたいで、水の音と子供たちのはしゃぐ声が聞こえた。

 俊太が靴を履いたまま遊具に乗ろうとするので、私は慌てて抱き留める。

「まって、これで遊ぶならお靴脱がないと」

「やだ!」

 案の定の答えに内心苦笑いしつつ、私はしゃがんで俊太の顔を見て言った。

「この遊具は靴を脱がないとダメなの。皆、靴脱いでるでしょ?」

 すると俊太はその場に座って、靴を脱いでさらに靴下も脱ぎだす。

 とりあえず一回は、イヤ、と言わないと気が済まないらしい。

 このイヤイヤ期、まだしばらく続くのよね。

 郁人は俊太のこういうところ、あんまり知らないんだな。

 走っていく俊太の背中を見つめ、私は小さく息をつく。

 どうすれば、郁人の不倫相手の事、調べられるだろう。

 今のところ、手がかりはないのよね。

 たぶん年下の女性。知り合ったのはどこだろう? ジム? 職場もありうるか。

 郁人の職場には学生のアルバイトの子たちがいるし。

 たしか、高校生もいるって言っていたような。

「……高校生じゃ、ないよね?」

 そう思ったら鳥肌がたってきた。

 いや、何もあの子が十代と決まったわけじゃないのに、郁人がものすごく気持ち悪いものに見えてきた。

 違うよね? そこまでじゃない、よね?

 でも自分が大学卒業してすぐに郁人に声をかけられたことを思い出すと、ありえないとも思えない。

 浮気調査なんてした事ないし、どう立ち回ればいいのか全然わからない。それに、遊んでいる俊太を見ていると、真相を知ることが正しいのかもわからない。

 俊太の様子をうかがいつつ、私はスマホで浮気調査の方法を調べる。

 スマホを盗み見る……無理だ、そんなの。おいていくとかないし。すぐに部屋に引きこもっちゃうし。

 財布の中身を確認する……それはなんだか気がひける。

 あとは、やっぱりあとをつけるかぁ。でも俊太がいるから厳しいなぁ。

 これ、詰みじゃないかな。

 友だちに頼むのも難しい。皆子育てに忙しいし、こんなの言えるわけがない。

「気になるのになぁ」

「あれ、坂本さん?」

 聞き覚えのある声に驚いて、私はびくっとして振り返る。

「あ……し、東雲、さん」

 そこにいたのは、淡いベージュのTシャツを着た東雲さんだった。

 なんで、と思ったけれどそもそもこの公園を教えてくれたのは東雲さんだし、ここ、マンションから近いものね。会うのは当たり前だ。

「こんにちは。あの、教えていただいたので子供、さっそく連れて来てみました」

 そう言って私はぎこちなく笑って、スマホをしまう。

 すると東雲さんは頷き、視線を白いドームの方に向けて言った。

「あぁ、そうなんですね。あぁ、俊太君いた。うちのさくらもあっちで跳んでいて」

 と言い、俊太がいるドームの隣にあるすごく大きいドームの方に目を向ける。

 ハーフパンツ姿のさくらちゃんが、楽しそうに飛び跳ねているのが見えた。

 大人は使っちゃいけない、って注意書きがあるから一緒に遊べないけれど、これ、絶対楽しいよね。

「本当だ。初めて来ましたけどここ、遊具が多いですね」

「そうなんですよ。まだ新しいし、遊具も充実していて休みの日はたいていここにきて遊ばせています」

「いいですね、こういう公園が近くにあると」

 正直羨ましい。

 うちの近所にも公園はあるけれどふつうの公園だ。それでも充分、俊太は楽しそうだけれど。たまにはこういう公園くるのもいいかもしれない。

 そう話していると、さくらちゃんが私に気がついたらしく、大きく手を振ってくる。

 私も手を振り返すと、さくらちゃんはわたわたとドームを下りてくる。

 そこに東雲さんが慌てて近づくと、パパを押しのけて靴下と靴を自分で履いてこちらにやってきた。

「俊太君ママ!」

 そう言って、大きく手を振る。

「こんにちは、さくらちゃん」

「俊太君もいるの?」

 言いながらさくらちゃんは辺りを見回す。

 するとさくらちゃんに気がついたらしい俊太が慌ててドームから下りてきて、私にしがみ付いてくる。

 そして、こちらを見上げて言った。

「あっち行きたい!」

「その前に靴、履かないと」

「ヤダ!」

「ヤダじゃないでしょ、足汚れるよ」

 そう言うと、俊太はお構いなしに裸足のまま走り出す。

 やっぱりそうなるんだから。

 私はさくらちゃんたちへの挨拶もそこそこに、俊太を追いかけた。

 

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi

Bab terbaru

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   59 夜の大人の時間

     ソファーの前のテーブルに置かれるワイングラス。 白ワイン、かな。 それにクラッカーやキューブのチーズが、新幹線の柄の紙皿に並んでいる。 紙皿がちょっと微笑ましい。「洗い物、減らしたいので」 と言い、八尋さんは私の隣に座る。ほんのわずか、隙間を開けて。 八尋さん、今日もいい匂いがする。 いつもと違う匂いな気がするけど、何でだろう。 この匂い、あれ、もしかして。「あれ、入浴剤、ですか?」 自信なく言うと、八尋さんはうんうん、と頷く。「そうですそうです。ほら、おもちゃがでてくる入浴剤、あるじゃないですか」「あぁ、バスボムですね。なんかいつもと違う匂いがするなと思って」 すると八尋さんは驚いた顔を向けてくる。「よくわかりましたね。自分だと匂い、よくわかんないですけど」 そう言いながら、八尋さんは自分の手首を顔に近づける。 その姿を見ながら私は笑い、「あはは、自分の匂いってよくわかんないですよねー」 と告げる。 私はどんな匂いがするんだろう、って思ったけれど、俊太とお風呂、入ったあとだから石けんの匂いがするだけだよね。「子ども、バスボム好きですよねー」「そうですね。うち、出た人形が玄関に飾ってます。出たら満足なんですよねー」 そういえば、ここの玄関、可愛いキャラクターの小さい人形が飾られていたっけ。 あれ、バスボムのだったんだ。 八尋さんが、グラスを手に取り言った。「最近、ヘアゴムの飾りが出てくるバスボムもあるんですよねー」「え、そんなのあるんですか?」 どういうことだろうと思って、私はスマホで調べる。 ゴムは別でついていて、バスボムの中から出てきた飾りを乾かして、ヘアゴムにつけるらしい。 知らないうちに、すごいのでてた。よく考えるなぁ。「知らなかった」「あはは、そうですよね。俺もびっくりしましたけど」 そして彼はこちらを向いて目を細めて笑い、グラスを掲げた。「とりあえず、飲みましょう」「は、はい」 私はグラスを慌てて手に取って、八尋さんの方を向く。 うーん、八尋さんの顔見てると本当にドキドキするなぁ。 グラスを傾けて、「乾杯」 っと言いあって、私たちはグラスに口をつけた。 久しぶりにお酒飲むなぁ。 ぐい、と飲んで、クラッカーにチーズをのせて口にする。「んー、美味しい」「久しぶりですね、

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   58 誕生日のお祝いとそのあとと

     ピザにスープ。それにサラダにローストビーフ。 たくさんのごちそうが並ぶなか、さくらちゃんが言った。「うわぁ! すごーい!」「皆で食べよう。食べおわったらケーキね」 そう私が言うと、俊太が両手を上げた。「わーい!」 ピザをカットして、紙皿にとって。 いつも飲み物は麦茶って決めているけれど、今日は特別にジュースだ。 「クリスマス、サンタさん何くれるかなー」「新幹線とー、車とー、あとねー」 なんて俊太が数えはじめると、それを笑って八尋さんが頷く。「いいなー、たくさんもらえるかなー」  すると俊太は大きく頷いて、手を大きく上にひろげた。「いっぱいがいい!」「そうねー、いっぱいだといいねー」 笑いながら言い、私は俊太に食べるように促す。 わきあいあいとご飯を食べて、片付けたあとはケーキの時間だ。 箱を開けて現れたのは、俊太が好きな新幹線のはやぶさが描かれたケーキだった。「はやぶさだー!」 プリントなのかな。すごくかっこよくはやぶさが描かれている。 正直、切るのがもったいない。 そのケーキに、八尋さんがろうそくを三本さして、火をつけた。「じゃあ電気消すね」 そう告げて、私はテーブルの上にある照明のリモコンを操作して、電気を落とした。 ろうそくの火が、暗闇の中でゆらゆら揺れる。「せーの」「ハッピバースデートゥーユー」 そう皆で歌う。 俊太は目をキラキラさせて、ケーキを見つめていた。 ケーキにささる三本のろうそく。それを見るとなんだか不思議な気持ちだった。 生まれて三年経ったんだ。 まだ三年? この数か月が怒涛過ぎてもっと時間が経っているみたいに思うけれど、そうでもないんだなー。 灯りをつけて、ろうそくをぬいて、ケーキを切り分ける。 楽しい時間はあっという間に過ぎていって、プレゼントを開けた俊太はぱあっと顔を明るくする。 新幹線の本に、パトロール隊のおもちゃ。 そのあと俊太はさっそく玩具で遊び、夜は絵本を読みながらベッドに入った。 本を読みながら俊太は私にいろんな話を教えてくれる。 しばらくすると満足したのか、大きな欠伸をして眠りについた。 その頭を撫でていると、眠気が襲ってくる。 八尋さんと約束があるから寝ちゃだめだ。 そう言い聞かせて私は、寝ないように薄闇の中、俊太の本を開いた。 しばらく

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   57 息子の誕生日

     子供たちのお迎えは私がひとりで行った。 帰り道、「今日はー、誕生日だよねー」 と、さくらちゃんがわくわくした顔で言う。「ママ、新幹線は?」 顔を輝かせて言う俊太。「そうだねー、誕生日はちょっと違うやつかなー」 そう言って笑って誤魔化す。 だって、新幹線はクリスマスに買ったから、今回は犬のパトロール隊のおもちゃだ。 なにをあげてもよろこぶ、といいんだけどなあ。 正直このお年頃は何を欲しがるのか全然分からないんだよね。 子供たちを連れて帰り部屋に入ると、「たっだいまー」 と、声を弾ませてさくらちゃんがばたばたと廊下を走っていく。「さくらちゃん、あるこうねー」 そう声をかけると、さくらちゃんは急ブレーキをかけるように立ち止まって、こっちを振り返って下を出す。「へへへー」 なんて言って、さくらちゃんは、すり足で廊下を歩いて行った。 そんなの無視して、俊太は靴を脱ぐ。 そしてリビングに向かおうとするのを私は制した。「さきにあっちに荷物、おいてこよう」 言いながら、私は私たちが使っている部屋がある方を指差す。 すると俊太は目を大きく開いて声を上げた。「なんで?」「今日はそういう日なの」「なんで?」「先に手を洗って、うがいしようねー」「なんで?」 うん、今日はなんで攻勢がすごい。 私は内心苦笑して、それでもついてくる俊太を連れて流しに向かった。 八尋さんとこれは決めていたことだ。 俊太を今日、連れて帰ってきたらまず手を洗ってお片づけをする。 その間に、さくらちゃんたちが準備をするらしい。 荷物を片付けて準備をして、私はスマホを見た。 ちょうど八尋さんからメッセージが届いて、「準備出来た」と書いてあった。 私は俊太に手を伸ばして、「行こう」  と声をかけ、手を繋いだ。「なんで?」 と、俊太の疑問が始まる。「誕生日でしょー、今日は」「うん」 そう頷く俊太を連れて、私はリビングへと向かう。 そして、ノブに手をかけて俊太の方を見て言った。「一緒にあけようか」 すると俊太はばっと手を伸ばしてきたかと思うと、ガチャっと勢いよく扉を開いた。 するとパーン! という音と共に紙が舞う。 クラッカーだ。 音に続いてさくらちゃんたちの声がした。「お誕生日おめでとー!」 俊太はびっくりしたみたいで辺

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   56 あの女性

     鳴り響いたチャイムを聞いて私はさっと立ち上がってインターホンのモニターを見る。 それを見て私は思わず息をのむ。「あぁ、来た」 私がインターホンのボタンを押す前に、八尋さんがエントランスの扉を開くボタンを押した。「あ……」 私はハッとして後ろに立つ八尋さんの姿を見る。 今の人、この間見かけた女性、だよね? 八尋さんの会社の人。 胸の奥がざわざわしてしまう。 そんな私のことなんて知らない八尋さんは、ニコニコ笑って言った。「涼花さんは座って待っていてください」「え? いや、でも……」 私が家政婦だし、っていう思いと、例の女性を見たいっていう気持ちと、何ともいえないどろっとした感情が私の中にあってわけわからなくなりそうだ。 八尋さんは私を片手で制して、「大丈夫ですよ、それくらい俺が受け取るから」 と言い、バタバタとリビングを出ていく。 私は胸の前で手を握りしめ、じっと扉の方を見る。 どうしよう。気には、なるんだけどな。 ちょっと迷った後、私はゆっくりと扉に近づいてそして、その扉を開いた。 するとちょうど、扉が開く音が聞こえてくる。 玄関が見える所まで出て、ちょこっとそちらを見ると、八尋さんの背中が見えた。「ありがとう」「いいえー、それで準備はできたんですか?」 という、元気な女性の声が聞こえてくる。 ちらっとみえる頭とか見るとこの間見た人に間違いなさそうだ。 って、覗き見しているみたいでいやだな。何しているんだろう、私。 その時、ちらっとあの女性がこちらを見たような気がした。 その瞬間、にこやかに八尋さんと話をしていた女性の顔が一瞬、真顔になる。 でもすぐに笑顔になって、彼女は八尋さんの顔を見て、「それじゃあ私、帰りますね」「あぁ、うん。ありがとう、結城」 結城さん、ていうんだ。 彼女はこちらに背を向けて玄関ドアを開ける。 あ、まずい。八尋さん、戻ってきちゃう。 私は慌ててリビングの方へと戻って、さっきまで座っていた椅子へと向かう。 すっかり飲み物、冷めちゃった。 レンジで温めよう。 カップを持ってレンジに近づいたとき、扉が開く音がした。「お待たせしました。ケーキ、しまっておきますね」「あ、はい、ありがとうございます」 言いながら私はレンジにカップを入れて、スタートボタンを押す。「あとお菓

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   55 お遊戯会と誕生日の準備

     まだ二歳の俊太は、直接サンタさんからプレゼントを渡されてそのプレゼントとサンタさんを交互に見ている。 サンタさん、生で見るの初めてだもんね。 生、と言っていいのかよくわからないけれど。 サンタ役はたぶん誰かのお父さんだろう。 子供たち、ざわついているけどちゃんとお座りできてえらいなぁ。 その姿にまた、ほろり、としてしまう。 サンタさんタイムが終わってお遊戯会も終わる。荷物を抱えて私は俊太のお迎えに教室へと向かった。「ママ!」 そう声を上げて俊太が走ってくる。 「俊太」「あのね、サンタさんにもらったんだよ」 そして俊太は、手提げバッグを私に見せてくれる。 そこにはさっきもらったサンタさんからのプレゼントが入っていた。「よかったねー。うち帰ってあけようね」「うん」 ニコニコ顔になる俊太と手を繋いで、私は頭を下げて教室を後にした。 さくらちゃんは、今日はパパがお迎えだからこのまま帰ることになる。 園庭を出たとき、俊太がキョロキョロして言った。「さくらちゃんは?」「さくらちゃんは今日はパパがお迎えなんだよー」「なんで?」「さくらちゃんのパパがお迎えだからねー」 そう、答えになっている様でなっていないことを言ってしまう。 この年頃は、なんでもなんで? が多いような気がする。 さくらちゃんのパパがさくらちゃんをお迎えに行くのは当たり前なんだけど、その当たり前をどう説明したらいいのか、私にはわからない。「なんで?」 案の定、俊太は同じ質問を繰り返してくる。 こうなるとしばらく同じことの繰り返しになってしまうので、私はどう誤魔化そうかと考えた。 「お買い物して帰ろう? おやつ、何食べたい?」「おやつ食べる!」 誤魔化すにはやっぱりおやつが一番だな。 すっかりおやつに意識がいった俊太を連れて、私はスーパーへと足を向けた。 その数日後。 とうとう俊太の誕生日がやってきた。 わざわざ八尋さんは仕事を半休、とってくれて今、室内の飾りつけをしている。 その背中に、私は笑いながら声をかけた。 「こんな飾りつけしたの、初めてですよ」「そうなんですか? さくらのときはいつもこうしていて」 そう言って、彼は壁に飾りをつけていく。 ハッピーバースディの文字に、三、という数字。 星やら花やらのウォールステッカーも貼

  • クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる   54 お遊戯会とサンタさん

     先生の指示に従って、俊太がタンバリンを鳴らす。 その姿が可愛くって、スマホ越しにすっごい見てしまう。 合奏が終わって私はいっぱい拍手をした。 家じゃあまだイヤイヤ期で手がかかるけれど、保育園だとこうして先生の言うことを聞いて、こんな楽器の演奏までできて。 なんだかほろり、としてしまう。 ちゃんと成長しているんだなぁ、俊太。 その後の劇で、俊太はきこりの役をやっていた。 緑色のベストに緑色の帽子を被って。台詞は言えないから全部先生が言ってくれるんだけど、ちゃんとフリをしてて可愛かった。 第一部が終わって、席を入れ替わって私たちは後ろに下がる。 今度は年少さん以上のプログラムで、さくらちゃんの出番がある。 ざわざわと保護者たちが席を移動していると、八尋さんの姿を見つけた。 視線が合うと、彼は小さく頭を下げてくる。 私も会釈だけして、そそくさと視線をそらして席を移動した。 下手に見られてなんか言われても面倒だもの。 しばらくすると、第二部が始まる。 最初は年少さんの歌と合奏だ。 赤いベストを着た年少さんたちが出てきて、鍵盤ハーモニカを持っている子もいる。 その中にさくらちゃんの姿を見つけて、私は小さく手を振った。 後ろの方なのでちょっと見にくいけれど、スマホのカメラでアップにするとよく見える。 さくらちゃんは鍵盤ハーモニカをひくみたいで、ステージの前に置かれたテーブルにハーモニカを置いて、椅子に腰かけて演奏が始まるのを待っていた。 先生のピアノに合わせて挨拶をした後、子供たちが声を合わせて言った。「せーの、『さんぽ』をうたいます」 せーの、って言ってるのも可愛いくて、保護者たちから笑いが漏れる。 ジブリの歌は定番よね。 演奏が始まって、さくらちゃんも歌を歌う。サビに入る前にハーモニカの演奏が入って、さくらちゃんは一生懸命に指を動かしていた。 といっても一音を長くひいているだけだけど。すごいなぁ。 演奏は一番だけで終わって、皆が立ち上がって観客席へと頭を下げる。 そこにいっぱい拍手して、年少さんのお歌と合奏は終わった。 そのあと、年中さんと年長さんのお歌と合奏が続いて、そのあといよいよダンスの時間だ。 演目を見ると、さくらちゃんの出番はもうすぐだ。 なんか可愛い服を着て踊ると言っていたけれど、どんな服なんだろう

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status